第194 号

  1998年(平成10年)4月23日発行  1994年(平成6年)11月 1日創刊

    特集:全米ベストセラー「南京大虐殺」
の著者へのインタビュー


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編集者注
南京虐殺●日本駐米大使が「南京大虐殺」を批判
南京虐殺●アイリス・チャンへのインタビュー

【編集者注】

 1997年12月は南京大虐殺60周年であった。

 中国系アメリカ人作家アイリス・チャン(中国名:張純如)が書いた「The Rape of Nanking:The Forgotten Holocaust of World War II」(南京大虐殺: 第二次世界大戦の忘れられたホロコースト)は南京大虐殺六十周年に出版されて 以来、全米でベストセラーとなっている。これは米国などの英語圏での反響の大 きさを反映したものである。南京大虐殺に関して詳細に記述した英語の書籍は今 までなかったという。著者によると、この本は現在、中国語、ドイツ語、スペイ ン語、チェコ語などに翻訳されているが、日本語版はまだ目途がたっていない。

 本の購入に関しては、http://cnd.cnd.org/bookshelfを参照されたい。大学な どの図書館に購入を推薦することも呼びかけられている。

  書名:The Rape of Nanking:The Forgotten Holocaust of World War II
  著者:Iris Chang
  出版社:Basic Books
  IBSN:0465068359
 アイリス・チャンは今年29歳。イリノイ大学からジャーナリズムで学士号を 取得後、シカゴトリビューンとAP通信の記者として暫く働いた。彼女の最初の 著書「Thread of the Silkworm」(蚕の糸)は「中国ミサイルの父」銭学森に関 するものであった。彼女はプリンストンで生まれた。父と母は40年代に大陸か ら台湾に渡り、その後ハーバード大学に留学した。彼女は両親から南京大虐殺の ことや、祖父母がどのようにそれを逃れたかを教わった。

 CND(CND-Global, Feb. 24, 1998)はアイリス・チャンへのインタビューを 掲載した。インタビューは98年2月3日にシアトルで行われた。インタビュー では、著者は著書の背景、取材の様子、著者の考え方などを明らかにした。以下 はインタビューの日本語訳である。

 なお、南京大虐殺については「華声和語」第44号、第57号、第62号と、 「東北風」第9号をも参照されたい。

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【南京虐殺】
日本駐米大使が「南京大虐殺」を批判

 産経新聞の報道によると、斉藤邦彦日本駐米大使は二十一日の記者会見で、ア イリス・チャンの著書「南京大虐殺」について、「不正確、一方的」と強く批判 した。「事実誤認、曲解があると思う。基本的にひとりの個人が書いたもので、 日本政府として何か行動をとるという考えはないが、あのような本が出版され、 しかもある程度注目されていることは、うれしいことではない」と述べた。また 同大使は、米議会で開催が予定されている日本軍の慰安婦に関する展示会につい ても、公正を期すよう関係者に要請していることを明らかにした。

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【南京虐殺】
          アイリス・チャンへのインタビュー

CND: アイリス、インタビューに応じていただき、感謝します。1時間後に本 のサイン会が予定されていますね。

チャン:そうです。心配しないで。

CND: ありがとう。本の売れ行きはどうですか。

チャン:とても良いです。2月8日はニューヨークタイムズのベストセラーリス トで11位です。

CND: 素晴らしいです。

チャン:先週は14位でしたが……。

CND: 今も上昇中というわけですね。サイン会はどうですか。

チャン:とてもうまく行っています。毎回100人以上の人が来てくれています。

CND: それはすごいです。このような反響を予想していましたか。

チャン:いいえ。この本は学術的には反響があると思っていましたが、全国でベ ストセラーになるとは思いませんでした。

CND: 何がこのすごい反響を呼んだのですか。

チャン: 中国系社会が、このような本を60年間待ち望んでいたのが理由だと思 います。また、中国系以外の人やアジア系以外の人で、虐殺の事実を初めて知っ てショックを受けた人が大勢います。

CND: なるほど。サイン会に来るのは、主に中国系の人たちですか。

チャン:そうとは限りません。アジア人より白人が多いこともあります。

CND: これはあなたが期待していたことではないでしょうか。

チャン:あらゆる民族の人たちに読んでほしいです。

CND: 日本語版も出るのですか。

チャン:まだ分かりません。翻訳したい人がいると聞きましたが、まだ確かなこ とは分かりません。

CND: 他の言語への翻訳は?

チャン:台北のCommonwealth Publishing Companyが中国語版を出しています。

CND: 本の内容に話題を変えましょう。どうしてこの本を書こうとしたので すか。

チャン:この事件を忘却から救いたかったからです。歴史から消えることを望ま なかったからです。

CND: このような本が英語にはなかったということですか。

チャン:そうです。私は両親からこの事件を知りました。94年12月に、南京 大虐殺に関する会議に出席しましたが、英語の本は全然ないことが分かりました。 それでこの状況を変えようと思いました。

CND: 研究は主に生の材料に基づいたのですか。

チャン:そうです。一次資料、未発表の資料、事件中の文献です。最終的には、 数千ページにものぼる文献を集めました。中国語、日本語、ドイツ語、英語。そ れに、日記、メモ、手紙、政府報告などの未発表の資料もたくさんありました。 東京裁判の記録も調べました。

CND: これらの資料は入手が難しかったですか。

チャン:それほどでもありませんでした。もちろん、今では資料探しにかなり慣 れましたから。最初の著書(「Thread of the Silkworm」)の時は、情報集めは 大変難しかったのです。それと比べて、今回はとても簡単でした。その後では何 でも簡単に見えます。それに、事件は30年代に起きたので、アメリカ政府の保 管した資料もたくさん公開されています。50年代のことを書いた最初の著書よ りずっと容易でした。どうすれば良いかと迷うほどたくさんの資料が今回ありま した。

CND: そうすれば、ますますなぜ英語の本がなかったのかと驚いたでしょう。

チャン:まったくその通りです。確かに、どう探すかを知らない人も多いです。 私は良い「探偵」です。どこに行けば情報が集められるかを知っています。例え ば、ラーベの子孫を探すのは私には難しくなったのです。多くの学者が探してい ましたが。

CND: あなたはこの本を書くのにぴったりでしたね。

チャン:粘り強くやりました。私は執筆を始める前に虐殺に関するあらゆる情報 をできるだけ詳細に集めました。できるだけ異なる視点からの情報を集めました。 私は、まずできるだけ詳細な情報を集め、消化してから、その上で書き始めるこ とが大事だと感じていました。

CND: どれくらいの資料を集めたのですか。

チャン:数千ページ、幾つものキャビネットがいっぱいになっています。

CND: すごい量の仕事ですね。中国と日本に行きましたか。

チャン:中国には行きました。日本には行きませんでした。旧日本兵とは主に手 紙でやりとりをしていました。南京には行きました。

CND: いつですか。

チャン:1995年の夏。

CND: 夏? それは大変だったでしょう。南京は夏が暑いことで有名です。

チャン:知っています。

CND: 被害者に会いましたか。

チャン:はい。台湾と南京で、十数名の被害者の証言をビデオに撮りました。南 京では約10名の証言を撮りました。

CND: なるほど。一人で行ったのですか。

チャン:はい。

CND: アメリカ育ちのあなたには、中国での旅行は快適でしたか。

チャン:使命感があったので、快適かどうかは気にしませんでした。

CND: 集中していたのですね。

チャン:大変集中していました。文化的に快適かどうかを考える暇もありません でした。でも、そこで会った人たちが好きでした。私を助けてくれた学者や歴史 家が好きです。南京も好きです。天気はあまり好きではありませんでした。よく 病気になりました。それ以外は問題はありませんでした。中国語も分かっていま したし、普通話(北京語)で会話できたし、実際は皆と話をして、彼らの生活を 理解するのが楽しかったです。私と話したどの学者も自分の人生のすごい物語り を語ってくれました。しかし、虐殺の生存者と話をするのがこの旅の最もわくわ くさせる部分で、かれらの話は信じられなかったほどでした。

CND: そのときの詳細を覚えていたのですね?

チャン:はい、私は記録しました。日記にも書きました。生存者とのインタビュ ーと、死刑執行の場所に行った時の様子を全部ビデオに残しました。

CND: かれらはとても協力的だったんですね。

チャン:はい、とっても。かれらは自分の話を伝えてほしがっていました。とて も情熱的でした。

CND: 南京大虐殺に関する中国語の本は何冊かありますが、中国でベストセ ラーにはなっていない気がしますが。

チャン:実は、「Lest We Forget:1937」という本が80年代に中国で出版され たとき、ベストセラーになっていました。アメリカのような販売部数を数えるシ ステムはないかもしれませんが、発売初日に1万部が売り切れ、最初の1ヶ月で 10万部印刷されたとかいう話でした。中国は人口が多いので、われ先にと本を 奪い合う姿が想像できます。今回のハードカバーの本(「The Rape of Nanking」) も10万部以上売れそうですが、まだ出て2ヶ月しか経っていません。ここでも 皆が(中国と)同じことをしているのは大変興味深いです。

CND: 南京大虐殺記念館に行きましたか。

チャン:行きました。とても役に立ちました。

CND: 中国政府との問題は何かありましたか。

チャン:いいえ、幸運でした。他の活動家や映画製作人が私の前に中国に行って、 問題に出会いました。秘密に監視され、尾行されました。国外追放された人もい ました。私の場合は何もありませんでした。何も。

CND: どのように連絡をとったのですか。

チャン:フレモントのギルバート・チャン氏が中国のある歴史学者の名前を教え てくれて、私はファクスを送りました。それで中国から長距離電話がかかってき ました。私に協力してくれる人を見つけたと言いました。もし助手が必要なら、 探してくれるとも言いました。とても素早かったです。南京大学留学生会館に到 着した時は、既にそこで私を待ってくれていました。とてもエクサイティングで した。

CND: この本の目玉のひとつは、ジョン・ラーベの話ですね。あなたが日記 を発見して……。

チャン:そうです。この日記を保管していた遺族を探し出しました。嬉しいこと に、今ではドイツ語、中国語、日本語で出版され〔訳註1〕、原本はドイツの公 立の文書保管所できちんと保管されています。さらに写本が南京虐殺博物館とイ エール大学神学部図書館にあります。

CND: この問題に関して、あなたの調査は完了したとお考えですか。

チャン:他にもやろうと思えばできるんです。資料で読んだ全ての話を盛り込ん でいたら、何千ページもの本になったでしょう。さらに調査の余地もあるはずで すし、発見を待っている文書だってあるでしょう。南京大虐殺の他の側面に取り 組めば、さらに本を何冊か書けるでしょう。私は古典になりうるこの一冊を書き 上げました。すでに、スタンフォード大学大学院の心理学のクラスで教材となっ ていますし、米国中の大学から電子メールが来ています。ペーパーバック版がヴ ァイキング=ペンギン社から出版されれば――少なくとも30万部印刷するとい う噂を聞きました――もっと多くの大学がこの本をカリキュラムに採用するかも しれません。

手元にあるファイルだけでも、その材料に基づいて異なる視角から5冊から10 冊の学術書がすぐに書けます。しかし、私としてはむしろ、第二次世界大戦史上 の他の出来事、あるいは、そもそも全く異なる題材に移りたいと思っています。

CND: 他の学者に研究を続けてもらいたいわけですね。

チャン:その通りです。他の研究者が使えるように、資料の一部をアーカイヴに 寄贈してもいいと思っています。米国で最良の部類に属する南京大虐殺の資料コ レクションを持っているのですから。他の側面に焦点を当てて本を書こうと思え ば書けるんです。例えば、傀儡政権についての本、南京の食糧事情についての本、 あるいは旧日本軍による略奪についての本とか……そのくらい資料があるんです。 しかし、こうした多様な問題を読者のためにまとめあげ、学術的なだけでなく一 般の人にも読んでもらえるような本を書くほうが大切だと思ったのです。この本 をアメリカの主流派の人びとに読んでもらいたかったのです。お手本にしたのは、 実はジョン・ハーシーの古典的著作『ヒロシマ』(Knopf社、1985年〔訳註2〕) という、広島への原爆投下を書いた本です。いろんな大学の授業で取り上げられ た珠玉の小品で、しかも一般読者によく読まれた本でした。そういう本を書きた かったのですが、『ザ・レイプ・オヴ・南京』は『ヒロシマ』よりも部厚い本に なってしまいました。もっと短くしたかったのですが、盛り込みたい情報があま りにも多かったんです。

CND: 執筆中はどんな気分でしたか。

チャン:それはもう、拷問でした。どんな気分かって、それは惨めな気分でした。 いつも念頭にあって、執筆を続ける動機となったのは、人びとが争ってこの本を 読もうとし、次世代の教訓にするべく図書館に収められるようになると分かって いたことです。それに、この本が私の死後も生き残り、ひょっとしたら人の生き 方を変えたり、この種の残虐行為が二度と起こらない新世界を建設するために働 くことになる人を教育することになるだろうということも。そういうことが常に 念頭にあったわけですが、それでも本当につらい時もありました……。

CND: 実際に書き上げることができたのは、実に驚嘆すべきことですね。

チャン:私が思ったのは、実に何と言うか、人間が互いにこんなに残酷になれる とは、今でも信じられません。どこから手をつけていいかわかりませんでした。 つまり、この恐ろしい出来事は実際にあった、では、どの話から始めればいいの だろうかと。この種の話を毎日50くらい読んでいたので、圧倒されてしまった のです。本を書くときは、いつもストレスを感じるわけですが、今回は題材の性 質のために、さらに困難だったのです。

CND: この虐殺から学べる教訓は何だとお考えですか。

チャン:学ぶべき教訓ですか。私に言わせれば、この出来事は警鐘を鳴らすもの として受け止めるべきですね。私自身の考えでは、人間は誰しも、一定の社会的 ・政治的状況に置かれた場合、この種の残虐行為を犯しうるのです。この出来事 は、日本人の中国人に対する行為ということを超えて、人間が他の人間に対して どんなことを為し得るかのメタファーとして見るべきです。この残虐行為がどの ようにして起きたかを理解する際には細心の注意を払い、民主的制度のもとで権 力が人びとのあいだに分散するようにしなくてはなりません。というのも、民主 主義だけがこの種のことが起こらないよう防いでくれるものに思えるからです。

CND: この本に「権力は殺す。絶対権力は、絶対に殺す」という引用があり ますが。

チャン:それは歴史家のR・J・ルンメル(R. J. Rummel)の言葉です。有名な アクトン卿の「権力は腐敗する。絶対権力は絶対に腐敗する」という名文をもと にして、「腐敗する」を「殺す」に変えたものです。われわれは、このような残 虐行為が生じることを可能にする政治制度や独裁制の本性を探らなければなりま せん。可能な限りいつでも、権力が人びとのあいだに分散し、政治にチェック・ アンド・バランスが働くよう留意することで、この種の虐殺が二度と起こらない ようにすべきなのです。

CND: 最近英国の新聞で、日本の総理大臣が英国民およびヨーロッパの人び とに謝罪をしましたが……。

チャン:分からないのは、なぜ日本が、長いこと懸案となっている米国や中国の 犠牲者に対する誠意ある謝罪を未だに行わないのかということです。ひょっとし たら、もし米国に謝罪すると、米国の原爆投下の犠牲になったと感じている日本 人が大騒ぎし、抗議の声を上げることになるからでしょうか。

日本政府は、中国に対してすでに謝罪したと主張していますが、中国人が満足す るような謝罪は決してしていないと思います。

しかし、謝罪だけでは不充分です。日本人は、ヨーロッパや英国の戦時捕虜に課 した苦痛に対する賠償金を支払うべきです。謝罪では苦痛を消し去ることはでき ません。それ以上のことが必要なのです。

CND: 日本から戦争補償を得るために、政府がどんな努力を払っているかご 存知でしょうか。

チャン:私の知る限りでは、政府は実のところ、多くの人の努力を妨害してきた のです。今のところ、中華人民共和国の官僚には、日本に賠償金を支払わせるよ う圧力をかける一致した努力はありません。もしあるとしても、私が聞いたこと はありません。将来そういう政策をとるよう望みます。

CND: 戦争補償について中国人に出来ることがあるでしょうか。それとも、 政府を通じて行うしかないのでしょうか。

チャン:海外中国人に出来ることはいろいろあると思います。というのも、中華 人民共和国や中華民国の体制下の人びとには、賠償獲得につながることを達成す る力がないかもしれないと思うからです。彼らの努力は、政府に潰されかねませ ん。しかし、海外中国人、とくにカナダと米国にいる中国人には、かなりの財産 と力があります。在米ユダヤ人が結束してドイツに圧力をかけ、ヨーロッパにい る犠牲者に賠償金を支払わせるに至ったように、在外中国人も結束して日本に圧 力をかけ、大陸の中国人に補償を支払わせることが出来るでしょう。中国系米国 人や中国系カナダ人のグループが、日系米国人や日系カナダ人のグループと協力 して、犠牲者に正義がもたらされるよう動いています。この運動は海外コリアン、 フィリピン人も加わっていて、この多民族の努力が成長することを心から願って います。

リピンスキ議案は、ご存知でしょう。

CND: ええ。[CND註:末尾の註を参照]

チャン:ぜひ皆さんに、自分の地区の国会議員に電話して、この議案を支持する よう頼んでいただきたいと思います。リピンスキ議案には、すでに40人以上の 支持議員がいますが、もっと大勢必要です。そして、もし米国あるいは日本でま だ存命中の日本人戦犯の名前や所在を知っている人がいるなら、中国人やその他 のグループがその戦犯たちの重要な情報を提供することで、米国司法省特別捜査 局のエリ・ローゼンバウムを助けるはずです。在米中国人が、日本の戦争犯罪の 認知度を高めるためもうひとつ出来ることは、私の本を1冊買って地域の公共図 書館に寄贈することです。もし寄贈が嫌なら、地域の図書館に出かけて、この本 を買うよう求めるのでもいいのです。また、地域の学校で南京大虐殺がどのよう に教えられているかを調べて、教師や歴史家や教科書執筆者に南京大虐殺の歴史 について話をすることもできるでしょう。

CND: 教育が続けられることが重要だとお考えなのですね。

チャン:そうです。教育が最良の手段なのです。

CND: あとひとつ質問です。このような痛ましい歴史が記憶に留められている 状態で、中国人と日本人との関係はどのようにお考えですか。改善の余地はある のでしょうか。

チャン:もし日本政府が存分に謝罪し、賠償金支払いを開始し、南京大虐殺の犠 牲者の記念碑を日本に建て、南京大虐殺に関する教科書の記述への検閲を止める ならば、望みはあると思います。

CND: 正義は実現されねばならないというわけですね。次の企画は何かお考 えでしょうか。

チャン:いろんなアイデアがありますが、あと数ヶ月は分かりません。

CND: つまり、当面は本のプロモーションだけと。

チャン:実は、すぐにでも3冊目の本に取りかかりたいのですが、今はこの本の プロモーションで、あまりにも忙しいんです。

CND: 今はシアトルに滞在中ですが、今後どちらを回られるんでしょうか。

チャン:ヒューストンとオースティンです。それからまたニューヨークに戻らな いといけません。3月には首都ワシントンに行って、ホロコースト(大虐殺)記 念博物館で講演をすることになっています。さらに、カリフォルニア州サンタバ ーバラ、フロリダ州パームビーチなど、いろんな作家会議で講演することになっ ています。本当に、米国中を回ってます。すでに20都市くらいにはなるでしょ う。さらに多くの都市を訪問する予定が6月まで入っていて、たぶん6月以降も 続くでしょう。実際、終わりはまだ見えないんです。こういう旅には全然慣れま せん。関心を抱いていただいて嬉しいのですが、やはり疲れています。

CND: もっと休みたいでしょうね。

チャン:そもそも休みなんてないんです。

CND: ありがとうございました。お話できて、たいへん嬉しく思います。

チャン:ありがとうございます。記事に取り上げていただき、嬉しく思います。 この記事が電子出版されると、大きなインパクトを持つことでしょう。

CND: その通りです。プロモーションの旅の成功を祈ります。


【CND註】

1 最近、イリノイ州選出ウィリアム・O・リピンスキ下院議員をリーダーとす る米国議会の議員数名が、第二次世界大戦中に日本軍が犯した戦争犯罪に関して 議会の意向を表明すべきだという議案(上下両院同一決議案126号)を提出し た。この議案は、とくに南京大虐殺および従軍慰安婦にふれ、日本政府の公式な 謝罪および賠償支払いを求めているもので、国際関係委員会に付託された。この 議案の写しは、以下のサイトで入手できる。

  http://thomas.loc.gov/cgi-bin/query/z?c105:H.CON.RES.126:

2 リピンスキ議案やその他の日本の戦争犯罪に対する米国での活動に関するC NDの報道については、以下の日付のCND-US発行物を参照のこと――1997年4月 9日、1997年5月7日、1997年7月14日、1997年9月19日、1998年1月24日。


【訳註】

1 日本語版はジョン・ラーベ著、平野卿子訳『南京の真実』(講談社、1997年)。 著者はドイツ人ナチス党員。

2 原著は1946年刊。ハーシーは天津生まれのジャーナリスト、小説家で、第二 次世界大戦中は『ライフ』『タイム』誌の従軍記者として活躍した。

(翻訳:徐剛、井上徹)

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(C)www-admin@www.come.or.jp (F.Qian),Aug.30 1998