第180号 

1998年(平成9年)1月20日発行    1994年(平成6年)11月 1日創刊

目 次●com/j1997/01c.txt next (j1997/01d) previous (j1997/01b)
新聞簡訊
河北地震●雪の被災地で仮設住宅建設、医薬品や医療器具の支援が必要
中日関係●日本共産党の「赤旗」北京支局が31年ぶり再開へ
中米関係●中米が艦船事故防止の軍事海上協議協定に調印
軍事交流●米国が中国に環太平洋合同演習の視察を提案
国際経済●「人民元切り下げと金利下げはしない」
国際経済●昨年の外資受け入れが世界2位の430億ドル
国際経済●民用航空局が仏航空に上海―パリ便認可
国際経済●円安の影響で対日輸出が苦境に
国内経済●人民銀行の地方支店が再編へ
国内経済●北京最大の商業ビル「東安市場」が開業
スポーツ●薬物事件で中国が独自の調査委員会を発足
河北地震●河北省張家口市の地震現場の状況・・・・・・・・・・・・高見邦雄
河北地震●河北省張家口市の地震の救援活動・・・・・・・・・・・・高見邦雄
情報伝言●行政書士による外国人在留資格の無料相談会・・・・葛飾入管研究会
情報伝言●計算機技術交流会
【新聞簡訊】

★[01/20] 中国人民銀行20日発表の元レートは次の通り。(単位、元)   日本円(100円)       6・4562   米ドル(100ドル)    827・9000   香港ドル(100ドル)   107・0600

★[01/20] 共同通信ニュース速報によると、日本大阪府は河北省北部の震災で、 見舞金として50万円を在大阪中国総領事館を通じて送ると発表した。

★[01/19] 時事通信ニュース速報によると、胡錦濤中国共産党政治局常務委員が 4月上旬に日本を訪問することが決まった。

★[01/19] 香港の東方日報によると、江沢民国家主席は、大陸と台湾の関係改善 のために8項目の提案を出した1995年の春節(旧正月)前夜の3周年に当た る今月26日に政治協商会議の春節茶話会を開き、大陸台湾の話し合い再開に向 けた具体的な提案を含む重要な演説を行う予定。

★[01/19] 共同通信によると、香港のキャセイ航空はアジア市場の深刻な落ち込 みを理由に、社員760人を解雇すると発表した。返還後の香港への観光客激減 に加え、通貨危機でアジア路線の収益が大きく落ち込んだのが原因。

★[01/19] 共同通信によると、富士重工業は、軽自動車生産の技術を供与してい る貴州省の軍需メーカー、貴州航空工業総公司に資本参加すると発表した。同総 公司の昨年の軽自動車の生産台数は約1600台だった。

★[01/19] 解放日報によると、安徽省の農村地域で11日午後、個人経営の爆竹 工場が突然爆発。屋内で作業中だった児童3人を含む17人全員が即死した。原 因は調査中だが、経営者は無許可で爆竹を製造していたという。

★[01/19] 共同通信ニュース速報によると、遅浩田国防部長、張万年中央軍事委 副主席らは北京の釣魚台迎賓館で中国を訪問しているコーエン米国防長官会談し、 「イランへのミサイル技術供与はしない」と述べた。

★[01/17] 朝日新聞ニュース速報によると、2月に予定している遅浩田国防部長 のシンガポール訪問が中止された。シンガポールが1月初めに台湾の連戦氏の訪 問を認めたことに対抗した措置とみられる。

★[01/16] 中央テレビによると、北京、上海、天津各市及び広東省で、海賊版の コンパクトディスク(CD)やビデオコンパクトディスク(VCD)計200万 枚が処分された。同テレビは「中国政府の海賊版絶滅への断固たる決意を示すも のだ」と伝えた。

★[01/16] ウォールストリート・ジャーナル紙欧州版によると、来賓火力発電所 建設計画に対し、19の銀行で構成する融資団が5億1700万ドルを融資する ことで正式調印した。

★[01/16] 時事通信ニュース速報によると、日本のジャスコは青島市に大型ショ ッピングセンター「青島東泰佳世客ショッピングセンター」を18日からオープ ンすると発表した。ジャスコを中核とするイオングループの中国での出店は、香 港以外では広州、上海に続いて3番目。

★[01/16] 時事通信ニュース速報によると、茨城県島港に停泊中のベリーズ船籍 のタンカーが座礁し、船員9人が海に投げ出され、中国人船長ら2人が行方不明 となった。重油の流出があるかどうか不明。

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【河北地震】
雪の被災地に仮設住宅建設・医薬品や医療器具の支援が必要

 13日の中央テレビによると、10日にマグニチュード6.2の地震に襲われ た河北省張家口市の被災地では、13日朝から雪が降り、気温は日中でも氷点下 18度まで下がった。さらに深夜から14日未明には氷点下24度まで下がる見 通しとなっている。

 数万人に及ぶ避難生活者たちはテントや仮設小屋で寒さをしのいでいるが、被 災地区では凍土が地下1メートルの深さに達しており、本格的な再建は5月以降 となる。小中学校も1300教室が倒壊、教育関係者は5月に再建に着手できる よう努力するとしている。

 雪による交通混乱で救援物資輸送への影響が懸念されるが、除雪作業などによ り、これまでのところ順調に輸送が行われている。 

 また、17日の読売新聞ニュース速報が伝えたところによると、被災地では、 零下20度近い厳寒の中で仮設住宅の建設が始まっている。5万人余りが家を失 った被災地では、食糧や水、オーバーなど最低限の物質は軍の支給で一通りそろ ったが、約1万人が学校などの宿舎に避難し、なお4万人余りが、人民解放軍設 営のテントでの生活を強いられている。

 一方、国際赤十字社・赤新月社連盟は17日、被災地でインフルエンザがまん 延、気管支炎や肺炎も増加傾向にあるとして、医薬品や医療器具の支援を求める 声明を北京で発表した。

 声明は、地震で医療施設などが損壊し、医療体制を再び整備し病気のまん延を 防ぐには、緊急の支援が必要だとしている。

 日本赤十字社は、地震被災者の毛布と防寒着購入のため、救援金1800万円 を中国側に寄贈している。

 また、日本赤十字社では、郵便振替で河北省の地震への救援金を受け付けてい る。名義は「日本赤十字社」、振替番号は00110―2―5606。振替用紙 の通信欄に「中国地震救援」と記入のこと。送料は無料。

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【中日関係】
日本共産党の「赤旗」北京支局が31年ぶり再開へ

 時事通信ニュース速報によると、日本共産党の西口光国際部長と河邑重光赤旗 編集局長は19日午後、日本国会内で記者会見し、党機関紙「赤旗」の北京支局 を早ければ2月にも開設すると発表した。1967年に中日両共産党の関係断絶 に伴って支局を閉鎖して以来31年ぶりで、両党関係正常化の動きに弾みがつき そうだ。

 日本共産党は昨年12月10日、中国政府に対し支局開設を申請。今月16日 に「支局開設を歓迎する」との回答を得た。支局員は3人の予定で、今月内にも 先遣隊を送る。現在赤旗の海外特派員は11カ国に12人が常駐。これで12カ 国15人となり、中国報道の比重が増すことになる。

 中日両共産党の関係は、文化大革命で中国側が日本共産党を攻撃、67年8月 に同党北京代表と赤旗特派員が北京空港で暴行を受けたのを機に断絶している。 しかし、中国側が昨年、1.断絶の主な責任は中国側にある,2.関係回復は可 能だ,との見解を表明したことを受け、不破哲三委員長も「積極的に対応し、実 りある解決に向かって努力したい」と前向きの姿勢を示していた。

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【中米関係】
中米が艦船事故防止の軍事海上協議協定に調印

 朝日新聞ニュース速報によると、米国のコーエン国防長官は19日、北京郊外 の人民解放軍の防空司令部を視察。その後、北京の釣魚台で遅浩田国防部長らと 、両国の艦船の事故防止のための軍事海上協議協定に調印した。

 国防部長が米国国防長官と協定に署名するのは初めてで、中米間の軍事面での 信頼醸成に向けて、象徴的な一歩と言える。

 米国側によると、解放軍が首都防衛の要(かなめ)である防空司令部を外国要 人に公開するのは初めてで、コーエン長官への歓迎ぶりを示した形になる。中米 双方の高官訪問の際に、米国側は中国側に各種施設を公開しているのに対し、中 国側の視察要求に応じない方針に対する不満が米国側にくすぶっていた。

 また、軍事海上協議協定は、両国海軍の艦船が遭遇した際に、不測の事故を避 けるため通信手段などを事前に取り決めておくのが目的。中国海軍の活動が遠洋 に広がるに連れて、米軍艦船との遭遇の可能性が高まっていることが背景にある。

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【軍事交流】 
米国が中国に環太平洋合同演習の視察を提案

 朝日新聞によると、中米軍事交流の一環として、米国が中国に対し、ハワイ沖 で行われるリムパック(環太平洋合同演習)の視察を提案していることが米国防 総省筋より明らかになった。アジア歴訪中のコーエン米国防長官が17日から北 京入りして、遅浩田国防部長と今年の交流計画を協議する中でも取り上げられる 見通しだ。

 この提案はプリュアー米太平洋軍司令官が昨年12月に中国を訪問した際に、 解放軍に伝えられた。中国側は「検討する」と答えたという。リムパックは米海 軍の主催で、日本、カナダ、オーストラリア、韓国、チリの六カ国が参加する大 規模演習。米国とアジア太平洋地域の同盟国の海軍間の緊密な関係を誇示する狙 いで、前回96年は50隻近くの艦船が約一カ月の期間中、西太平洋に展開。対 潜水艦作戦や防空戦の訓練を繰り広げた。

 このほか、米国は人道救援目的の共同演習の実施も提案しているが、解放軍は 「外国軍とは演習はしない」と応じていない。だが、昨年12月にワシントンで 行われた初の国防定期協議では、中国もバングラデシュの洪水被害に対する救援 活動の実績を説明するなど、情報交換に前向きの姿勢を示したという。今春には 米側の代表団が訪中し、人道救援演習についてのセミナーの開催や関連施設を見 学する予定だ。

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【国際経済】
「人民元切り下げと金利下げはしない 」

 アジアの通貨・経済不安に歯止めをかけるため、国際通貨基金(IMF)のカ ムドシュ専務理事が中国を訪問して、政府に人民元の切り下げを当面は行わない よう要請した。IMFは、通貨危機でアジア諸国通貨の価値が切り下がった結果、 中国の輸出競争力は落ちてきており、競争力回復のために政府が元切り下げに向 かうと、危機の悪循環が断ち切れない、と見ている。このため、国際金融安定の ために、異例の要請を行った。

 朱鎔基副首相及び戴相龍人民銀行行長は記者会見などの場で、人民元の切り下 げは当分しないことを言明した。

 また、戴相竜行長は経済成長を加速させデフレに歯止めを掛ける狙いで金利を 引き下げることはないとの考えを明らかにした。

 戴行長は、通貨供給量である程度の微調整はあっても、金融政策の「適度な引 き締め」は維持すると述べ、当面の金利引き下げの可能性を否定した。

 一方、戴相竜行長は「東南アジアの金融危機を教訓とし、人民元の交換可能通 貨化については、より慎重に対応する」と強調した。

 国内では、現在人民元の計上取引だけを交換自由化しており、2000年まで に資本取引を含めて交換可能通貨化を進める計画で、戴行長は「アジアの通貨危 機は中国金融部門の開放政策に影響しない」と表明しているものの、交換可能通 貨化が遅れる可能性もありそうだ。

 戴行長はまた「今年は海外の銀行、保険会社に対して、人民元業務取り扱いを 認める中国支店開設の認可を増加する」と述べたが、同時に「認可申請に対する 管理を強化する」と指摘、資格審査を厳しくする方針を明らかにした。

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【国際経済】
昨年の外資受け入れが世界2位の430億ドル

 中国人民銀行の戴相竜行長は記者会見で、中国に対する海外からの投資総額が 昨年、430億ドルに上り、投資受け入れ国としては米国に次いで世界第2位と なったことを明らかにした。

 戴行長は、アジア通貨・金融危機による投資意欲退潮を乗り切るとの意欲を示 し「中国は1998年も(第2位の)地位を保ち、外資にとって魅力的であろう」 と述べた。

 また、国債発行額は昨年、8200億元で、今年は9000億元にすると表明 した。

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【国際経済】
民用航空局が仏航空に上海―パリ便認可

 チャイナ・デーリーによると、民用航空局(CAAC)はこのほどエールフランスに、 上海―パリ間の直行便運航を認可した。

 エールフランスは4月1日から上海―パリ間に週3便を運航する。また北京― パリ間も現在の週4便から同5便に拡大する予定。

 中国東方航空も4月1日から上海ーパリ間に週3便を運航する。

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【国際経済】
円安の影響で対日輸出が苦境に

 共同通信経済ニュース速報が報じた米主要機関週間リポートによると、中国の 対日輸出が苦境に陥っており、対米輸出もシェアを減らしている。

 それによると、人民元の対円レートは実質ベースで93年以来49%上がって いる。中国の全輸出のうち、日本向けは23%を占めているが、日本経済の低迷 で輸入増大が見込めず、更に通貨が安くなった他のアジア諸国との競争はより激 しくなっていく。

 対米輸出でも中国はシェアを減らしているが、実質ベースで94年以来30% 上昇した人民元の対ドルレートは97年はごくわずかの上昇にとどまった。中国 は米国市場より、日本での方が苦しいといえる。東南アジアや韓国通貨は円以上 に下落しており、それだけ対日輸出価格を維持、あるいは引き下げる余地が生ま れている。円がこれ以上下落すれば、中国の対日輸出は一段と悪化する恐れがあ る。

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【国内経済】
人民銀行の地方支店が再編へ

 共同通信経済ニュース速報が報じた中華工商時報の情報によると、人民銀行の 戴相竜行長は16日、同行の地方支店を年内に再編、省にまたがる複数の大支店 に統合、米連邦準備制度理事会(FRB)に似た体制とする方針を明らかにした。

 こうした構想は4年前に浮上、当時の行長を兼任していた朱鎔基副首相が実行 しようとしたものの、地方政府が強く抵抗して遅れていた。アジア金融危機の機 会に、中央政府が金融再編の一環として断行に踏み切ったようだ。

 戴行長は具体的に触れなかったが、かつての構想ではFRBやドイツ連邦銀行 をモデルとし、地方支店を華北、東北などの6大支店に統合することになってい た。

 人民銀行の支店は地元政府と密着し、中央の方針を無視した地元国有企業への 貸し付けなど、「諸侯経済」と呼ばれる地元優先の「地方保護主義」の温床とな っていると言われている。

 戴行長はまた、工商銀行、建設銀行など各商業銀行の重複する地方支店や長期 的に赤字の支店の統廃合を進め、300都市に地方政府や企業が出資する株式制 銀行を徐々に設立する方針を明らかにした。

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【国内経済】
北京最大の商業ビル「東安市場」が開業

 共同通信によると、北京市の目抜き通り王府井で百年近い歴史を持つ東安市場 が4年がかりで衣替えした新しい「東安市場」が18日、営業を開始した。地上 11階、地下3階、建築面積22万平方メートルで、北京最大の商業ビルとなる。

 旧正月の春節(28日)を控えた開業とあって、身動きできないほどの混雑ぶ り。近代的ショッピングセンターに変身する一方で、茶を売る店などは往時を思 い起こさせる門構えにするなどの工夫が凝らされている。ビルは2棟に分かれて いる。フランスの業者が経営を担当する高級品中心の売り場となっている棟は一 部のみの開業で、全面開業は今年後半の予定。また、北京の商業ビルとしては珍 しく、地下に500台収容の駐車場が設けられ、3600台分の駐輪場もある。

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【スポーツ】
薬物事件で中国が独自の調査委員会を発足

 新華社電などによると、国家オリンピック委員会は、オーストラリア・パース で開催中の世界水泳選手権での中国選手による薬物使用事件を受けて、独自の調 査委員会を発足させた。

 調査委員会は、監察相、薬物専門家、弁護士ら5人からなり、事件の真相解明 を行い、関係者を厳罰に処する方針。国家オリンピック委員会緊急会議で決まっ たもので、伍紹祖国家オリンピック委員会主席は、「今回の事件は、中国スポー ツ界に多大な損失をもたらし、とても残念だ」とし、「薬物使用防止に努力もし ないで中国スポーツ界のイメージを損ねたうえ、事件後も本当のことを話さない 者がいる」と、強い調子で今回の事件の関係者を批判した。

 第8回世界水泳選手権は12から18日までオーストラリアで開催され、中国 は、女子400メートル自由形と400メートル個人メドレーの陳妍、200メ ートル個人メドレーの呉艶艶が優勝し、金メダル計3個を獲得した。しかし、オ ーストラリア入国の際に成長ホルモンを持ち込もうとした周哲文コーチと女子平 泳ぎの原媛がシドニー税関に摘発され、国際水泳連盟から出場停止などの処分を 受けた。また、開幕前の抜き打ちドーピング検査でも女子3人、男子1人の選手 が利尿剤の陽性反応を示して出場停止処分になった。

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【河北地震】
河北省張家口市の地震現場の状況

高見邦雄(98/01/16 16:15)
(HQB01706@niftyserve.or.jp)

 私は以下にかいたような事情で河北省張家口市張北県の震災現場を、発生の翌 日午前に訪ねました。

 すこし遅くなってしまいましたが、そのときの見聞を書かせていただきます。

●発生の翌日に現場に到着

 1月10日午前11時55分、中国河北省張家口市の張北県・尚義県で地震が 発生したころ、私は、そこから直線距離で80Kmほど離れた山西省大同市天鎮 県で、この6年間、緑の地球ネットワークがつづけている緑化協力活動にかかわ る農村調査活動に従事していました。かなりの揺れを感じたものの、ここでは被 害はありませんでした。

 夜のテレビニュースで被災地が遠くないことを知り、カウンターパートである 大同市青年連合会・緑色地球網絡大同事務所のメンバー5人とともに、翌朝から 車で現地にむかうことを決めました。

 途中の料金所で人民解放軍兵士による検問があったものの、私たちは通行を許 されました。あとで知ったことですが、現場への接近を試みた外国の外交官、ジ ャーナリストなどは、ここで通行を禁止されたそうです。

 県政府の所在する張北県県城に到着したところ、ここは平静で、日常とまった く変わらない光景でした。ただ県政府の周辺だけは、兵士による規制が行われ、 緊張がただよっていました。

 緑色地球網絡大同事務所の副所長(女性)が県政府を訪ね、政府弁公室主任と 県長に私たちの来意を伝え、現場へ行くことの許可を求めましたが、「これまで 外国人はきていないので、自分たちでは判断できない」ということでした。彼女 はつぎに、張家口市副市長の秘書をつうじて、張家口市長と面会し、事情を説明 しました。

●張家口市長の特別許可をうる

 私は1995年の阪神大震災にさいして、宝塚市の自宅で被災しました。一帯 は震度7の東の端で、私の自宅も半壊になり、町内では15人の死者が出ました。 近所にある企業の女子寮も全壊したうちの1つで、かなり激しい余震のなか、瓦 礫に埋まった人たちを救出するための作業に私も参加しました。最初の1人は意 識があったのですが、2人めは冷たくなっており、とても悔しく悲しい思いをし ました。その翌日からかなりの期間、芦屋、神戸の東灘などで救援活動に参加し ました。

 そのとき私たちは、中国を含め全世界の人びとの支援をうけました。

 また、私たちが緑化協力活動をつづけている山西省大同市は自然災害の連続で す。89年10月には、大同県・陽高県が、今回と同規模の地震に遭い、大きな 被害を出しました。95年9月には、夏から秋にかけての長雨によって、土づく りの住居(窰洞)がつぎつぎに倒壊し、6万世帯24万人が住居を失いました。 私はその直後からこの地域にはいり、その悲惨な状況をしっかりと脳裏に刻んで います。

 そのような体験があったために、今回の地震もとても他人事には思えなかった のです。

 大同事務所の副所長が、そのような事情を市長に説明したところ、市長は私が 現場へ行くことを特別に許可し、事情に通じた県政府の職員を案内につけてくれ ました。ただし、写真とビデオの撮影はしない、というのが条件だったのです。

●いくつもの村が壊滅状態

 現場にむかったのは、11日の午前11時からです。

 張北県では9つの郷で被害がでており、なかでも大河・単晶河・海流図という 3つの郷で被害が深刻です。この地域は県城から30〜40Km離れた、海抜 1500〜1600mの丘陵地です。1人あたり年収1000元(1元=16円) 程度の貧困地域で、石と土でつくった家が多く、それらは完全につぶれています。 レンガで建てられた家は、なんとか外形を保っているものの、亀裂がはいって危 険なものが多いようでした。

 案内の人にきいたところ、この県での被害は、その時点で死者42名、負傷者 8000名、うち重傷者1200名、倒壊家屋10万間(およそ3万世帯)、堤 防の決壊1か所、といったところです。ただし倒壊家屋については、被害の軽い 地域のものは含まれていないので、もっと多くなる可能性があるとのことでした。

 このような事情から判断して、地震そのものはそう激しいものではなかったの でしょう。阪神大震災とはくらべものになりません。ただ、貧しさが、被害を拡 大してしまったのです。

 最初に車を泊めたのは、大河郷林場村です。20戸100人の小さな村ですが、 どの家も土と石とでつくられ、完全につぶれています。70歳の老婆と5歳の孫 がなくなったそうで、毛布でくるんで、道ばたに寝かせてありました。

●迅速な救出・救援活動

 この村でも救出・救援活動の中心になっているのは、軍です。およそ30人く らいの兵士が、スコップと手で瓦礫を取り除き、家財・寝具などを運び出してい ます。この部隊はきょうの未明3時に張家口から現場に到着し、3つの集落の救 出活動にあたっていると、指揮官から聞きました。最初の部隊が到着したのは当 夜の8時だったそうです。

 現在までのところ、生存者の救出を第1に考えており、また遺族の希望もあっ て、遺体の処理は翌日以降になるということです。

 そのかんも軍のトラックの列が、私たちの横を走り抜けていきました。兵士を 満載したトラックと、テントを積んだトラックです。

 救援物資を積んだ各地からの車両を県城ではずいぶんとみかけましたが、この ような現場まではきていません。救出活動を優先するために、いまの段階では現 場に近づけないでいるのでしょう。

 そのかわりに、何機もの軍用ヘリコプターが飛来しては、あちこちで離着陸を くりかえしています。医薬品と緊急食糧を運んでいるようです。軽傷者はできる だけ現場で処置し、重傷者は県城の病院に運んで治療するといっていますから、 その運搬にもヘリコプターが使われているのでしょう。

 私は村の人たちと軍の指揮官に、ここにきた事情と慰問の気持ちを伝え、1人 1人と握手を交わして激励しました。彼らも、私が阪神大震災の被災者であり、 かつ救援活動にとりくんだことをしって、特別の感情で私を迎えてくれたようで す。

●外に出ていて助かった人が多い

 地震のあった時刻、このあたりは晴天で、この時期としてはとても穏やかで暖 かい日でした。私たちのホームグラウンド・大同の農村も同じですが、このよう な日には、村の人たちは屋外にでて、土壁に背中をもたせかけて座り込み、よも やま話をして時間をつぶすことが多いのです。

 また春節(旧正月)まえの土曜日であったために、学校も休みでしたし、家族 で郷政府のある村や県城の市まで、買い物その他ででかけていた人が多かったよ うです。

 昼食時だと思われるかもしれませんが、この時期、大地は凍結し、農作業はま ったくできませんので、農民は、朝は遅くおき、夜は早く寝るのがふつうです。 そのために1日2食になっている家も多く、みんなが食卓についていたわけでは ありません。

 被害の重かった3つの郷の人口は5万人ですが、全県の負傷者が8000人と 比較的少なかったのは、そのような理由からです。

 しかし、ここは大陸性気候で寒暖の差が大きく、10日の昼間は暖かかったの に、夜は最低気温が県城でもマイナス21度になりました。被災地はもっと寒か ったことでしょう。私が北京まで帰ってきた13日には寒波が襲来し、北京でも 雪が降りましたので、現地も悪天候になったおそれがあります。

 寝具などで簡易テントをつくり、寝場所を確保している人もいます。

 家財や寝具を馬車に積んで、別の村の親類を頼って移動をはじめた家族もいま したが、まだ少数です。

 軍が、生存者の救出とあわせて、テントの建設をなによりも急いでいるのは、 夜の寒さからどうやって人びとを守るかが最大問題だからでしょう。

●貧乏な村、貧乏な家ほど被害が重い

 それからさらに奥へと車をすすめました。郷政府の所在地の大きな村には数百 戸の農家があり、レンガ建ての建物は、外見的にはあまり被害がありません。し かし、内からみると、壁や屋根に亀裂がはいって、危険な住居も多いようです。

 余震はマグニチュード4程度の小さなものがつづいているようですが、被害を うけるほどではないとのことでした。

 ふつうの集落は数キロの間隔をあけて、30〜100戸くらいのまとまりが多 いようです。小さな集落は、たいていが土と石でつくった住居で、もとのかたち がわからないくらいに壊滅しています。

 どこの集落でも、兵士たちが忙しく作業にあたっています。私がみたかぎりで は、瓦礫に埋まった人たちの救出作業はひと段落ついている印象をうけました。 ほとんど全部の家が平屋建てで、材質そのものがもろいために、瓦礫を取り除く 作業じたいはそう困難ではないうえに、作業をする人員が十分に足りていると思 えるからです。

 阪神大震災のときにも感じたことですが、なんといっても、貧乏な村の貧乏な 家ほど、完全に倒壊しています。初期の救出活動から生活再建の過程にはいって も、そのような村ほど困難が大きいでしょう。

●地震の直前に動物が騒いだ

 農民たちの話に耳を傾けると、地震の1時間くらいまえに、動物たちが異様な 行動をとったことが話されていました。部屋のなかをネズミが走りまわったとい います。ブタがなにかにおびえて、小屋を飛び出したり、逆に飛び込んだりした こともあったそうです。

 ニワトリやヒツジが、地震の直前に逃げ出し、しばらくしてから帰ってきた事 例もききました。瓦礫を掘り起こしても、その下に埋まって死んでいる家畜はま ったくみられないそうです。

 阪神大震災のときに私もおなじ経験をしました。それまではわが家にネズミが いるとは思わなかったのに、地震の数日前から、天井裏を走りまわる音がきこえ るようになりました。その朝は寝ている枕元で、ネズミがなにかをかじる音で目 をさまし、きょうこそはネズミわなを買ってこないといけないな、などと考えて いるときに、地震がやってきたのです。

 科学的な方法による地震の予測がかならずしも成果をあげていないいま、動物 のこのような行動を系統的に調べることには十分に意味があると、あらためて感 じました。

 2時間近くを被災地ですごし、また県城にむかいました。案内の李さんは、地 震発生から一睡もしていなかったところを、車の暖房と振動に誘われたのでしょ うか、眠り込んでしまいました。道をまちがえ、回り道をして県城に帰ったのは 2時を大きく回っていました。

 そこで、救援資金の贈呈をおこない、また副県長から救援活動の状況をきき、 新華社のインタビューをうけたのですが、それについては稿を改めることにしま す。

 なお、緑の地球ネットワーク(GEN)が6年間にわたってつづけている、山 西省大同市の黄土高原での緑化協力活動について、ホームページでかなりくわし く紹介しています。昨年末に全面的なリニューアルをおこないました。あわせて ごらんください。

 URL http://www.mahoroba.or.jp/~tatsumi/gen.html

(nifty:CF/MES/3/6785より李擴建推薦)

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【河北地震】
河北省張家口市の地震の救援活動

高見邦雄(98/01/16 16:15)
(HQB01706@niftyserve.or.jp)

 前回、被災地のようすを中心に報告しました。今回は救援活動のあり方などに ついて、もうすこし話しておきたいと思いますが、そのまえに前回の報告につい て多少の補足をしておきます。  

●「ことなかれ主義」の壁を破る

 私が現地にはいるとき、それほどの困難があったとは思っていませんでした。 しかし、張北県から帰った翌朝、北京の日本大使館と、在北京の報道関係の幹事 社である共同通信と連絡を取り、さらに翌日、日本大使館で記者会見をおこなっ たときに、大使館のメンバー、報道陣などが張北県の入り口にあった検問から先 にすすむことができず、現場に到着できなかったことをききました。

 私たちもその検問にあったのですが、私たちのカウンターパートである緑色地 球網絡大同事務所のメンバーの機転によって、そこを通り抜けました。簡単にい えば、私は車から1歩も降りず、ひとことも話さないでいたのです。

 県政府についてから、大同事務所の副所長は、まず県政府弁公室主任にあって、 事情を話しましたが、彼は自分で決定することができませんでした。つぎに県長 と面会しましたが、事情は変わりません。市から駆けつけていた副市長秘書にあ いましたが、彼も決定できません。最終的に市長本人に面会を求めて、特別の許 可をえたのでした。

 彼女は、「あのような人たちは、枯れ葉が落ちてきて頭を撃つのを恐れるの だ」といっていましたが、日本語でいえば「ことなかれ主義」ということでしょ う。それはなにも中国だけにあることでなく、私たちが阪神大震災にさいして痛 感したことですし、この緑化協力活動のなかでもつねに遭遇していることです。 それにしても、そのようななかで、大同事務所のメンバーたちが、きわめて積極 的に道を開いていったことに、私はたいへん感動しました。こういうところにも 私たちの6年間の活動の積み重ねがいきてきているのです。そもそも発生の日の 夜、私がひとこと「現地にいきたい」といったのにたいし、大同事務所の所長は、 「高見がいきたいのならいこう、農村は逃げるわけではないから、農村調査はつ ぎの機会でいい」と即座に答えたのですから。

●「一方に災害あれば八方に支援あり」

 午前中の市長との約束では、現場から帰ったあと、市長と副市長に面会するこ とになっていたそうですが、なにせあのような状況のなかですから、彼らはつぎ つぎに仕事に追われており、代わりに張北県の梁玉海副県長とあいました。

 私は私がここにきた事情を説明し、救援に全力をあげてほしいとお願いしまし た。

 梁県長は、各地からの救援がこれほど多いとは思いもしなかった、しかも日本 人までさっそく駆けつけてくれたことに心から感謝する、と話してくれました。

 県政府の外壁、廊下などにも、「一方に災害があれば、八方に支援がある」と いうスローガンが貼られ、また「唐山市民の来訪を熱烈に歓迎する」という文字 が特別に大きく書かれていました。ご承知のように、唐山は1976年に大地震 にみまわれ、じつに数10万人にのぼる被害をだしたところです。唐山の人たち にとっても今回の地震はひとごとではなく、さっそくに駆けつけたのでしょう。 そのような被災者どうしの連帯に、この県の人たちが特別の感情を抱いているの でしょう。私が、外国人として特別の許可をえて、このようなもてなしを受ける ことになったのも、私が阪神大震災の被災者であり、その救援活動にとりくんだ、 という事情が決定的な意味をもったに違いありません。

 副県長に、救援活動にとって、いちばんの困難はなにかときくと、やはり、住 居の確保と暖房の確保だという答えが返ってきました。当座のことももちろん重 要だが、そのあとのことはもっとたいへんだというのです。

 被災地は、このかんずっと暖かかったといっても、最低気温はマイナス21度 以下になっていました。その後、13日には北京にも寒波がきていましたから、 現地はもっとたいへんだったでしょう。そのようななかでは、レンガやセメント をつかって住居を建てるのは不可能です。これらは4月以降のことになります。

 緊急の措置はテントに頼らざるをえません。いま軍が積極的に展開しているの はこの活動です。テントには2種類あるようです。1種類はかなり厚手のもので 断熱性があり、暖房のことはそれほど気にしなくてもすむようです。もう1種類 は通常のもので、このばあいは暖房が必要なのだそうです。一両日中には、被災 者の大部分を収容できるようになるといっていました。

 問題は、4月以降に住居の建設をはじめるときに、深刻化するでしょう。

●旱魃で基礎体力が弱っているところに

 副県長がつぎに話したのは、この地方が昨年、たいへんな旱魃にみまわれたと いうことです。これは大同地区とも共通していますが、年間降水量の合計が減少 したこと以上に、作物の収穫にとって有効な期間にほとんど降らず、それを外れ た秋になってから降った、ということが原因です。全体として6割の減収になっ たということですが、村によっては4割くらいの減少だった、というところもあ りましたから、ひじょうにおおざっぱですが、平年の40〜60%に収穫がとど まった、とみれば、そう大きくははずれないでしょう。このような旱魃の年には、 地形によっても大きく変わりますし、潅漑が可能かどうかにも大きく左右されま す。さらには、「となりの村までは降ったが、ここには降らなかった」といった こともあって、小さな範囲でもかなり大きくちがってくることを、私は大同で何 回も経験してきました。

 被災したのが、このように基礎体力の乏しいところだったことが、再建への過 程をより困難なものにすると思われるのです。

●新華社のニュースで世界中に

 副県長のところにも来客と電話があいついだので、これ以上そのじゃまをして はいけないと思い、そうそうに引き上げることにしました。私が義援金の贈呈を 申しでたところ、彼はわざわざ私といっしょに別室にいき、そこでかんたんな贈 呈式をもち、たくさんの人でごったがえしているなかで、感謝のことばをもうい ちど話してくれました。この県が外国人から第1番めにうけとった義援金だとい うのです。

 そのあと新華社通信によるインタビューをうけました。どのような気持ちで、 即座に現場にかけつけ、義援金を贈ったのか、救援活動のようすをどのように受 けとめたのか、というのがその趣旨でした。

 私はこれまでくりかえしてきたことを、もう1度、話しました。そして救出・ 救援活動については、とても迅速かつ的確におこなわれていることに感動した、 と答えました。それは本心から思ったことです。

 あわせて、みなさんがこのような災害を自力で乗り越えようとする気持ちはわ かるが、国際的な支援も受け入れてほしい、そのために世界にむかって情報をぜ ひ公開してほしい、いまの世界でこのような災害が多発するなかで、それを克服 するために世界の人たちがたがいに力を貸しあうことは、世界の平和を維持する ことでもプラスになる、と話しました。

 彼は自分もそう思う、以前に雲南で地震があったときには、自分たちが現場か ら世界に情報を発信することで世界中から支援があった、そのことにたいして国 家の表彰をうけた、だから今回も力をいれて報道しようと思っている、と答えま した。

 私のインタビューの内容がその日のうちに配信されたことを、翌日、北京の共 同通信社に電話をしたときにききました。私は内心でホッとしました。張北県に はいるさいに、私はこの国の法律に違反した自覚はありませんし、この行動にた いして私自身が問題にされる可能性は低いでしょう。しかしいっしょに行動した 中国人のメンバーたちの行動があとで問題にされる恐れはないとはいえない、と 考えていました。

 こうやって張家口市の市長の許可がえられ、新華社によって、私たちの行動が 世界に伝えられたということは、その恐れがうんと少なくなったことを意味する でしょう。

●新華社が配信したニュースの内容

 新華社がどのような記事を配信したか、1月12日の朝日新聞夕刊の記事を引 用しておきましょう。

 【北京12日=藤原秀人】新華社通信が11日伝えたところでは、中国山西省で植 林を手がけている高見邦雄さんが同日朝、地震被災地の河北省張北県にある対策 本部を訪れ、6万円を寄付した。新華社によると、高見さんが今回の地震で義援 金を出した初めての外国人という。

 高見さんは10日夜、仕事先の山西省天鎮県でテレビニュースで地震を知った。 阪神大震災を体験している高見さんは翌朝、約100Km離れた張北県に車を走 らせ、ポケットマネーの1万円と、高見さんを派遣している大阪の団体からの5 万円を対策本部に手渡した。

●大同のメンバーの思いは複雑

 夕暮れが近づくなか、私たちはきたときの道を通って、大同市天鎮県にむかい ました。驚いたことは、対向車線が救援物資を積んだトラックの長蛇の列で埋ま っていたことです。スピードは落ちてはいますが、渋滞というほどではありませ ん。ある意味では理想的な状況といっていいでしょう。

 私は、カウンターパートのメンバーたちに、なかば冗談で、「今回はここにき て、山西省がいかに貧しいかがよくわかったよ」といいました。しかし、彼らに とっては冗談ではなかったようです。「そのとおりだ。張北県の県城は大同の市 街地よりきれいだった。現場にむかう農村の道路も、県の人たちは県のなかで最 悪の道路だ、といっていたけど、大同の農村でいえば最高の道だといっていい」 「この地方も以前は大同と同じように貧困だったのだが、ここしばらくのうちに 発展したのだ、自然環境は大同と大きくは変わらない、問題は人の要素だ、問題 は幹部だ」というのです。

 そして、「それにこの支援をみてみろ。大同の災害のときは、外部からの支援 なんて、まったくといっていいほどなかった」とことばをつづけるのです。

●大同でも連続した自然災害

 大同市の大同県・陽高県は、89年10月に今回と同じマグニチュード6.2 の地震に遭遇しました。死者こそ少なかったものの、うけた経済的損失は今回と 差がないでしょう。あとで、もういちど書きますが、私はこの6年間にその現場 がどうなっているか何度もみてきましたし、その爪痕は8年以上たったいまでも しっかり残っています。

 そしてその地域をすっぽりつつんで、95年9月の水害がありました。という ことは、連続して自然災害にみまわれた村がすくなくなかったということです。 8月から9月にかけての長雨が土づくりの住居・窰洞の屋根にしみこんで、農村 の住居がのきなみ倒壊してしまいました。90%以上の農家が全壊し、村ごと場 所を移転したところさえあります。6万世帯24万人が住居を失ったのですから、 その被害は今回にくらべても大きかったでしょう。

 その水害の直後に、私は大同を訪れ、被害の重かったいくつかの村を回りまし た。この年は春が大旱魃だったうえに、夏はこの水害、さらに9月15日ごろに 早霜がきて、農作物も大被害を受け、悲惨としかいいようのない状態でした。

 そのとき、村には、今回と同じように「一方に災害があれば、八方に支援があ る」というスローガンが掲げられ、県などがだした赤刷りの救援の呼びかけにも、 かならずこのことばがありました。しかし、外部からの救援は、まったくといっ ていいほどなかったのです。私が帰りに北京できくと、たいていの人は、大同で そのような自然災害があったことを、知ってもいなかったのです。

 89年は天安門事件のあった年で、それによる影響があったでしょう。95年 は、全国的に水害の多発した年だった、という事情もあったでしょう。

●被災者を第一に一過性でない支援を

 今回の支援の広がりには、北京でも揺れが感じられ、速やかかつ広範囲に報道 がなされたことの影響がおおきいでしょう。またこの地方は貧困ではあっても、 比較的豊かな河北省に属していた、ということも幸いしたでしょう。

 しかし、私の印象からいえば、自然災害は貧しい村、貧しい家を狙い撃ちにし ます。ほんとうはそうではなく、自然災害にみまわれやすいから貧しい、という ことなのでしょう。そして、貧しいところほど受ける被害は重大ですし、再建は、 とくに自力による再建は困難です。であるにもかかわらず、貧しいところほど、 早く忘れられ、外からの支援もつづきません。

 今回の地震も、そういう点からいうと、緊急の救出・救援というてんからいう と、なんども書いたように、きわめて順調でした。とくに、政治の冷たさをしっ かりと味わわされた阪神大震災の被災者などがこの現場をみれば、むしろ感動さ え覚えるでしょう。

 問題はこれからあと、生活の再建の過程でしょう。基礎体力のないところが、 どうやってそれを実現するかという問題です。

 北京まで帰って、日本政府が緊急支援を決めたことを、大使館の担当者からき きました。東京のほうでは、緊急支援隊というマンパワーの派遣を第1に、第2 に物資、第3に救援金、という順番で救援を考えた、ということでした。しかし、 ここまでのことでもおわかりだと思いますが、必要な救援は、その逆の順番でし ょう。とくに第1のマンパワーの派遣は、今回にかぎっていえば、不必要もしく は逆の効果さえもったでしょう。

 物資については、中国政府から要請もあり、それに応えた、ということのよう ですが、できれば現地の実情をみて、そこでほんとうに必要とされているものを、 現場の近くで入手するというのが賢明だろうと思います。国際赤十字はそのよう な方策をとったとききました。

 そして長い目でみて、いちばん必要なのは住居の再建、生活の再建のための資 金による救援でしょう。もちろんそれには、今回のばあいは多少の時間をかけて もいいので、しっかりしたルートと体制を確保する必要があるでしょう。

●なぜ、長い目の支援を訴えるか

 大同県閣老山郷東閣老山村は、89年の地震で、村の大半の住居が破壊され、 その後、世界銀行の借款をうけて、村の半分がすこし離れたところに移転し、新 しい村を再建しました。ところが残りの半分は、借款をうけることができず、半 分壊れた家や、粗末な避難小屋でその後も暮らしていました。

 旧い村に残った人によると、「借款を返せそうにない人には貸してくれなかっ た」ということですし、上の人たちは「農民は借金がこわいから、借りようとし なかった」といっていますが、農村の意志決定のありようを考えると、これはお そらく同じことをいっているでしょう。

 半分壊れた家や避難小屋に住んでいた人たちは、その後の95年の水害で、ま た壊滅的な打撃を受けてしまいました。それ以上に問題なのは、村が2つに別れ てしまったために、共同体としての機能さえ失ってしまっていることです。これ からどのような再建の道をさぐるにしろ、旧い村にとどまっている人たちを、新 しい村に移すことが、最低限必要なことです。

 私たちのカウンターパート、大同市青年連合会は、日本の外務省草の根資金協 力の助成金を昨年に申請しました。しかし、いまのところ、まだ決定されていま せん。外国の政府がそのような問題のすべてにかかわることは、もちろん不可能 でしょう。彼らもそのことはわかっています。でも私がこだわりたいのは、この 地域でももっとも困難な、このような村の再建に外国の政府がかかわることで、 中国の人たちの目をここにふたたび引き戻すことができるということです。その てんの効果からいうと、私たちNGOがとりくむのより、日本の政府関係がとり くむことのほうが、はるかに大きな意味をもつのです。大同に長年かかわってい るからといって、たんに身びいきだけで考えているわけではありません。

 今回の震災についての支援活動とあわせて、このような問題があることにも、 みなさんのご理解をお願いいたします。

 以上、あまりにも長々と書いてしまいました。新しい情報があれば、またお知 らせしたいと思います。

(nifty:CF/MES/3/6803より李擴建推薦)

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【情報伝言】
行政書士による外国人在留資格の無料相談会

葛飾入管研究会

 葛飾入管研究会による2月の外国人在留資格無料相談会が開催されます。ビザ、 帰化・永住などの問題でお困りの方はお気軽にご利用下さい。

  時間    2月28日(土)午前10時から午後4時まで  
   場所    東京都葛飾区勤労福祉会館      
        (葛飾区立石3−12−1、京成線立石駅から徒歩7分)

  電話    03−3694−7305(当日)
  問合    事務局
        行政書士古谷武志事務所
        (03−3692−0778)

 なお、E-mail(com@come.or.jp)での相談も随時に受け付けしています。

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【情報伝言】
計算機技術交流会

 日時:    1月25日(日曜日)13:00〜17:00
 場所:    豊島区勤労福祉会館六階第6会議室
         (豊島区西池袋2―37―4、池袋駅西口5分)
 内容: (1)各種経済、貿易、文化活動等情報交流の
        「CTSserve-ML」を紹介します
     (2)かなり有名なホームページsilkroadを紹介します。
     (3)最初の有名なホームページ華声和語を紹介します。
     (4)様々なメーリグリストを紹介します。
     (5)世界の中文ホームページを見れる、中国語メールでやり取り
        できるソフト「日中之星2」を紹介します。
     (6)各種経済、貿易、文化活動の情報交流、計算機関係の仕事の
        無料紹介
     (7)中国最新計算機市場情報、
     (8)講演したい方も募集します(五分程度)。
 会費:   1000円(含資料、飲料)
 主催:   CTS(計算機技術交流促進会)

 連絡者: 03−3526−9718 程
      010―669―2280 周
 Eーmail:wuxiche@anet.ne.jp  呉
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